行き道。
たいして高速道路を走らない高速バスに乗って。
車窓から見える竹林が大波小波よせては返している。
潜るたびにタイムリープするトンネルを。ひとつひとつ。
まるで無声映画のように流れる風景は微睡み。
ここが何処だか知っている。
帰り道。
たいして高速道路を走らない高速バスに乗って。
見おろせば田園に沿う農道をスケートボードで滑る少年。
山深いなかを。天空の橋をわたるたびに開いていく感性。
細かな粒子になって花粉やPM2.5と混じり風にふかれて飛んでいく。
ここが何処だか知っている。
どっちが行き道でどっちが帰り道なのか。一瞬わからなくなって。いかにも春の陽気。
shinsuke