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Shinsuke

ハイウェイ

更新日:2020年8月1日


3日前。

まだ夜も明けないうちに家を発ち、島原へと向かった。 交通量の少ない高速道路はいたって快調だった。

6時15分を過ぎた頃、長崎道の川登SAの手前。

空が、すずりの中に数滴ブルーのインクを垂らした程度にほんのりと青味を帯びてきた矢先、、ヘッドライトが照らす道行きに一面、霧がたち込めてきた。

起伏の続く箇所を速度を落として慎重に走る。 まばらに行き交う車のハイビーム。所々にたつ街灯。 その明りが幻想的な景色を浮かび上がらせ、そしてそれは瞬間で後ろへと流れていった。

車中にかかるノラ・ジョーンズが良い感じに合っている。

6時30分、一層に青の分量が増した空。高速道路から見下ろせる集落の灯の明滅に、もうじき朝がやってくるのだと実感する。 集落のあちらこちらに絡みつく霧が、役目を終えた《夜のヴェール》のように思えた。

6時50分、すっかり霧がはれて空模様も完璧に青色ベースになり、雲に朝焼けが映えるドラマチックな様相。

気分の高揚とシンクロするかのように、坂を登りきった先に海が広がっていた。

ノラ・ジョーンズからバトンをもらったのはナンバーガール。

来るべき朝日に備えて、出発時から周到に用意しておいたサングラスをかけて、『透明少女』をハミングしながら、少しだけ窓を開けた。

目前に、魚の形をした雲が浮かんでいる。

尾びれ背びれが曙色に染まる乳白の巨大魚が、大空を悠々と泳ぐ姿に(きっと今日は良い日になる)そう思った。

※予感の通り・・・撮影もスムーズに進み、昼飯【鶏の白石】も晩飯【いけす炉端 網元】も揺るぎなく美味く、やっぱり良い日となりました。

shinsuke

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