昨日の夕方。
天神の某所にて三脚をたて、ファインダー越しにアングルを探っていたとき。
被写体となる建物にピントを合わせていると、画角の左端のほうから突然 にょき と人影が現れた。 ボヤけるその人影は、ピースサインをつくり、ニヤついているようだった。
その日、朝からノンストップで撮影してまわり、疲労が隠せないオレは≪んだよ、うざってーな!≫と≪申し訳ありませんが、只今仕事中ですので≫の混合した…どちらかには前者の比率多めの視線を相手に向けた。
すると、
「よー、よー、よー、しんちゃん!」と知った顔が、含み笑いに陽気な足どりで近づいてきた。
「おぉ?まんちゃん!!」一瞬驚いてから、オレも歩み寄り、握手をかわした。
まんちゃんは、絵描きでありデザイナーでありミュージシャン。 ハードコア界隈で知らぬものなしの男である。
長身のまんちゃんは、ゴキゲンな柄のサングラス、短パンにラインソックスのスケータースタイル。Tシャツの下に、ど派手なアンダーシャツを着ているかのようにビッシリと彫り物が入った風貌は、相変わらず。
かたや自分も人のことを言えない…Tシャツ短パンで大きなバックパックを背負って、年甲斐もなく日焼けした肌色(仕事焼け)に髭ヅラ。まるで自分探しの旅人のよう。
約二年ぶりの再会にハシャぐ、歳不相応な恰好の30代半ばのおじさん二人。
辺りに目をやると、居合わせた若いお嬢さん方が、若干ひいていた。。
しばし、互いの近況や共通の友人の話で盛り上がった。
その中で、大切な友達について聞いた事情はショックだった。
まんちゃんが「お互い大人やし、色々あるんやろ。」「また、向こうから動いてくれるのを待つよ。」と語るのを聞き、どうりで連絡が取れなかったことに納得。そして、まんちゃんの言う通りだと思った。
生きてりゃ色々あるんだ。 オレも。まんちゃんだって。みんなそうだ。
してあげれることなんて、たかが知れてる。 余分に首を突っ込むのは、余計なお世話だ。
当人が動くのを待つしかない。
つかの間の立ち話で、根掘り葉掘り聞くわけにもいかず、概要を聞いた程度だが、そう思った。
まんちゃんは、「じゃ、また!」と雑踏の中に消えていった。
オレは仕事に戻って、再びファインダーを覗いた。 夕暮れの街角でファインダーを覗きながら、、どこかに友達の姿を探した。
shinsuke