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Shinsuke

ファインダー

更新日:2020年8月1日


昨日の夕方。

天神の某所にて三脚をたて、ファインダー越しにアングルを探っていたとき。

被写体となる建物にピントを合わせていると、画角の左端のほうから突然 にょき と人影が現れた。 ボヤけるその人影は、ピースサインをつくり、ニヤついているようだった。

その日、朝からノンストップで撮影してまわり、疲労が隠せないオレは≪んだよ、うざってーな!≫と≪申し訳ありませんが、只今仕事中ですので≫の混合した…どちらかには前者の比率多めの視線を相手に向けた。

すると、

「よー、よー、よー、しんちゃん!」と知った顔が、含み笑いに陽気な足どりで近づいてきた。

「おぉ?まんちゃん!!」一瞬驚いてから、オレも歩み寄り、握手をかわした。

まんちゃんは、絵描きでありデザイナーでありミュージシャン。 ハードコア界隈で知らぬものなしの男である。

長身のまんちゃんは、ゴキゲンな柄のサングラス、短パンにラインソックスのスケータースタイル。Tシャツの下に、ど派手なアンダーシャツを着ているかのようにビッシリと彫り物が入った風貌は、相変わらず。

かたや自分も人のことを言えない…Tシャツ短パンで大きなバックパックを背負って、年甲斐もなく日焼けした肌色(仕事焼け)に髭ヅラ。まるで自分探しの旅人のよう。

約二年ぶりの再会にハシャぐ、歳不相応な恰好の30代半ばのおじさん二人。

辺りに目をやると、居合わせた若いお嬢さん方が、若干ひいていた。。

しばし、互いの近況や共通の友人の話で盛り上がった。

その中で、大切な友達について聞いた事情はショックだった。

まんちゃんが「お互い大人やし、色々あるんやろ。」「また、向こうから動いてくれるのを待つよ。」と語るのを聞き、どうりで連絡が取れなかったことに納得。そして、まんちゃんの言う通りだと思った。

生きてりゃ色々あるんだ。 オレも。まんちゃんだって。みんなそうだ。

してあげれることなんて、たかが知れてる。 余分に首を突っ込むのは、余計なお世話だ。

当人が動くのを待つしかない。

つかの間の立ち話で、根掘り葉掘り聞くわけにもいかず、概要を聞いた程度だが、そう思った。

まんちゃんは、「じゃ、また!」と雑踏の中に消えていった。

オレは仕事に戻って、再びファインダーを覗いた。 夕暮れの街角でファインダーを覗きながら、、どこかに友達の姿を探した。

shinsuke

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