先月。お義母さんが来た時、食後に凍頂烏龍茶を淹れて飲んだ。 その凍頂烏龍茶は、何ヶ月か前にお義母さんから貰ったもので、「そういえば…」「せっかくだから…」と思いたって封を切った。
お湯を注ぐと、くるりと丸まっていた茶葉が、モゾモゾほぐれてきて、優しくて上品で爽やかな湯気がのぼり、とたんに心が解れた。 一口含むと、香りから想像する通りの気品高い味わい。
普段、ペットボトルからなんの気なし喉に流し込むウーロン茶とは、一味も二味も違った。
その日以来、それを気に入って、よく飲んでいる。 まったくの無作法なので、淹れ方は毎度 気ままに自己流。
今日も、たっぷり三杯分くらいお湯を注いで、適当に時間をおいて、息子の作った湯呑にナミナミついで、読みかけの小説を膝の上にズズズッと啜る。 空になると二杯目をついで、本を読み読み、飲み。そしてしばらくして、三杯目をつぐ。
三杯目になると色も渋みも濃くなって、当然ぬるい。 それがまた良いかんじ。
網戸をすり抜けて、肌に触れる夕刻のそよ風。 サラサラ。 静かな部屋を満たす柔らかい翳り。
湯呑の底に揺らぐ残りを飲み干して、「もしかして今いい時間?」 と小さく口ずさんだ。
EVISBEATS いい時間
shinsuke