先週、仕事で東京に行きました。
晩飯後。宿泊先へと戻る道すがら、、ほろ酔いの眼に映る銀座の夜景は、煌びやかで、あの頃の風景と何も変わらなく感じました。
2005年。当時、同郷の友人と一時、同居しており、その友人が銀座の老舗BARで働いていたので、身分不相応ではありながら、ときどき 銀座へと繰り出していました。 BARの名前は『Lamp』。路地裏にひっそりとあり、重い扉が老舗感を漂わす、、喪黒 福造 がカウンターで飲んでいそうな店構えでした。
友人が一人でシェイカーを振ってる日に、こっそりフレンドプライスで飲ませてくれた酒は、どれもこれも大人の味で、華やかであって、まるで銀座の夜景そのものでした。
ある時、夢み心地を味わった その帰り。地下鉄に揺らされてる間に、様々なリアリティが席を埋める車内で、しだいに高揚は薄れ、現実へと戻されていき…売れない漫画家が住んでいそうな、『石楠花荘』という名の ねぐら に帰り着いた頃には、すっかり酔いがさめていて、夜がすきま風といっしょに滑りこんできては、グルグルと身体に巻きつき、動けず眠れず・・・耳にこびりつく秒針の行進。
空が白みはじめた頃、静寂の住宅地を切り裂くように、SR400のけたたましいマフラー音が近づいてきて、家の前で止まると、ボロボロの階段を、よろよろと上がってくる靴音がなり…数時間前は、銀座の紳士淑女相手にスマートに接客していた友人が帰ってきて、魂まで漏れそうな溜め息をつき、タバコに火を点ける いつもの仕草に、たった今起きたフリして声をかけ、安いラム酒とペプシを冷蔵庫からとりだして・・・人知れず鳴り響いた 明け方の乾杯。
成功と栄光 反する 挫折と虚構 その狭間で、20代半ばの若造にハッキリと聞こえたブルース。
その頃。DJ KRUSHや、DJ Shadowといったアブストラクトなヒップホップ(トリップ・ホップ)にハマっていて、外出するときは必ずといっていい程、ヘッドホンから それらが流れていました。
人によっては、陰気で片付けてしまう音楽…聞く人がキけば、最高にドープ。
その音の深度・硬度・彩度・温度が、東京の気配にピッタリ合っていました。
人混みの中をかきわけながら・・・また流れる人の波を対岸から眺めながら・・・視覚に飛び込む極彩色な刺激は、逆に どこかモノクロームな世界観を孕んでいました。
東京に対して、そういうイメージを抱いていたのが、その頃の写真にも表れているように思います。
改めて写真を見かえすと、被写体に鳩を選んでいることが、しばしばあることに気づきました。
コンクリートジャングルで、テリトリーごとに群れを成して生きている姿に、、自分の存在を重ね見ていたのかも知れません。
おこぼれのパン屑に群がり、そこら中に糞を垂らして、平和の象徴とは名ばかりの、煙たがられる存在。
疎ましく思い、そして愛おしくも思い、シャッターをきっていたのかなぁ…。
と振りかえります。
DJ KRUSH 6thアルバム『漸』から 24歳の若さでこの世を去ったラッパー ラフラ・ジャクソンに捧げる曲。 Candle Chant (A Tribute) DJ Krush Feat. Boss The MC
shinsuke