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SALTY 19 PUNX

  • Shinsuke
  • 2015年9月7日
  • 読了時間: 4分

更新日:2020年7月25日


安室奈美恵が、『SWEET 19 BLUES』をリリースした1996年。 オレは、曇りなきガラスのハートを持った高校一年生だった。 その3年後、写真の専門学校に通うため、福岡へと出て…更に磨きのかかったピカピカのハートを、むやみやたらに晒しては 割れそうで割れない スリルを楽しむ日々を送っていた。

そこで、kacoをはじめとする沢山の仲間ができた。

高校までのように、ひたすらにバカやって誰にも遠慮せず楽しいコトをやりまくった仲間とは、違って・・・自己表現で競い合い、時に 思想や人生観を語り合う関係のそれ。

ライバルであり、戦友であった仲間達のなかでも、kacoは特別だった。

恋人ということも、もちろんあったが、、そこを抜いても、表現者として一目置く存在で、二人展をひらいたり…数々のアートイベントに一緒に参加した好敵手であった。

そんなkacoは、本分の写真以外で、ed.Kaco を名乗り、映像作品も作っていた。 (影響をうけ後に自分も1本制作。)

プロ・アマ 入り混じるアートイベントで3作品上映。 その中のひとつに『ドラドラカムカム』というタイトルのショートフィルムがあり・・・

内容は、徹夜で麻雀してると現実と妄想の境があやふやになってゆく という 徹マン あるある。

とても年頃の女子の発想とは思えない渋い題材である。。

(恥ずかしながらそこで、役者デビューしたオレ。マジで恥ずかしかったです。 笑)

雀卓を囲む若い男女の画から、次第にそれぞれの妄想の世界に切り替わり…水族館でシュノーケルつけて上半身裸だったり、飛行機工場の廃墟内でパイロットに扮して はしゃいだり(オレの役)、トイレのなかにて下着姿でアンニュイにシャボン玉吹いてたり・・・

そして、パンクロッカーが壁・天井、全面に空模様の部屋でギターをかき鳴らす映像だったり。

妄想世界へと飛んだ順に、現実でもソレらの恰好になっていて、、4人全員がトリップした姿になり、シャボン玉が部屋の中をフワフワと漂う画を映し・・・くだらない会話と牌をかき回す音がBGMの上に薄くのっかっている状況。からフェードアウトで終わり。

素人がつくったとは思えない、クオリティだった。

作品のなかのパンクロッカーのシーンを撮影した時。オレの出番はなかったのだが、キャスト兼スタッフの為それに同行。

ロケ地は、【マリンワールドでシュノーケルを咥え ストリーキングをかました男気溢れる仲間】 の同郷の友人の部屋。

その友人は ゴリゴリのパンクガールで、ボウズ頭にピアスまみれの両耳、チェックのボンテージパンツに破れたTシャツという、パンク的トラッドスタイルだった。 声も酒ヤケを思わせるダミ声で、常に気だるそうなリアクション。 完璧だった。

完璧なパンクガールの暮らす部屋は、壁も天井も青空柄の壁紙が貼ってあった。 なんでも入居した時からそうだったらしく、こんなに清々しいほどイカれた部屋ってあるんだなぁ と思った記憶がある。

そんなイカした部屋でギターをかき鳴らす演者は、そこに同居している、これまたアナーキズム溢れる いでたちのパンクボーイ。

なんでも二人は恋人関係にはないらしく、あくまでルームメイトらしかったが、、どうやら同じベッドで寝起きしているようだった。 別になんてことはない…健全な男の子の想像をかきたてるってだけの話。

撮影の合間、(たしか)少年ナイフ が流れる室内で、タバコの煙が沁みた 涙目の先では、(パンクガールが無断で飼ってる) 猫が爪をたてて壁をよじ登ろうとしていた。

何度もトライする猫。たまにビックリするくらい高い位置まで駆け上がって、、それは、まるで、空を飛んでいるみたいだった。

完璧だった。

19歳のオレの心をブンブン揺さぶった思い出。

昨日の夜中。布団のなかで、なぜか急にその光景を思いだして…横になったまま、しばらく記憶の遊覧飛行にでて、懐かしんだ。

いま現在。

パンクガールは、オレの知るかぎりでは、地元に帰り息子と二人で、伸び伸びとスローライフをおくっている。 パンクボーイのほうは、色々あって福岡からとんだって話だが、どこにいるのか行方知れずだ。 どこかの路上で、相変わらずエレキギターかき鳴らして、警察とケンカしてるか、、もしかしたらジャンキーになって身を滅ぼしてるかもしれない。 はたまた意外にも、真面目に社会人やってて、父親になってるかも。

どうなるか先がわからないのが人生だ。 だからどうなっていようとも、それが人生だ。

甘くほろ苦い…ってよりは、ギラギラと塩っ辛い19歳。その頃、思い描いた未来とは少し違うとこを歩いてる。 でも、全然悪くない。むしろイイ感じだ。

ジョニー・ロットンは、≪No future for you≫と唄ったが、ヒロトは≪未来は僕らの手の中≫と叫んだ。

ANARCHY IN THE JP

オレはヒロトを信じる。

shinsuke

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