13年前、九州ビジュアルアーツの写真学科に在籍していた頃。
今よりも、若く、青臭く、根拠のない自信に溢れていたオレは、今よりもクリエイトのど真ん中で遊んでいました。
自分こそが一番イケてると思い込み、人とは違うことを実践し、写真生活を満喫していた ある時・・・たしか卒業制作の中間発表の授業中。先生から
「写真を撮る…シャッターを切るとき人は二通りのスタンスに分類されます。」
「それをMirror&Windowといいます。」
と教わりました。
先生曰く、主観性のハナシだそうで…窓から外の世界を覗くように在りのままを写そうとするのか、鏡を見詰めるように被写体に自我を投影するのか の違いが、人それぞれあるのだとか・・・ なんでも師匠からの受け売りだとか。
その話を (ほほぅ、なるほどねー) と聞く自分の手元には、出番を待ちわびてウズウズしている発表前の作品が…なだめるように目をやると・・・ホットドック用のパンにレタスを敷き、自分のチ○コを挟んで、ケチャップとマスタードをかけている写真が思いっきりほくそ笑んでいました。
その時、オレは間違いなくMirrorタイプだと確信しました。
その後、学校を卒業して上京し、スタジオに2年勤め、
フリーのロケアシとして4年間、ファッションを中心に音楽関係や広告写真などに携わり、その過程で色々と思うとこがあり…《写真迷子》になってしまいました。
写真から離れようと決めたのと同時期に、先行き見えないままKacoと結婚し、それを機に福岡に引っ越して2年ほど派遣社員をやりました。
死んでもイヤだと思っていたサラリーマンも 意外とこなせる自分にビックリしながらも、徐々に沸いてくる気持ちに正直にありたいと 息子の誕生とともに再び写真の道へと戻って… 今に至ります。
13年経った今でも、相変わらず自分の写真は主観性が強いと思います。
ただ、東京で一流の仕事を体感できたことや、その中で感じた劣等感や、写真から離れたことで再確認した夢への渇望…仕事としてやることの葛藤・・・流れる時の中で経験してきたことが、
若く、青臭く、根拠のない自信に溢れていた頃の自分には持ち合わさない価値観や考え方を与えてくれました。
最近、HPの起ち上げのため作品をまとめたり、撮影したりしていた中で、久しぶりに写真について深く考えました。
そして、今。あなたは Mirror&Window どちらのタイプかと尋ねられたら、
そのどちらもである と答えます。
※がらにもなく6年前から、母校にて非常勤講師として年間に2クール教鞭を執らせてもらっています。
あの頃の自分と邂逅するかのような…若く、青臭く、根拠のない自信に溢れている生徒たちに、「写真を撮る…シャッターを切るとき人は二通りの・・・・」 なんてイッパシの先生らしく伝えています。
もちろん、恩師からの受け売りだと付加えて。
shinsuke