中学卒業と同時にオレたちは親元を離れた。
家から通える距離に高校がなかったからだ。
大半は入学先の高校が指定する寮にはいった。
見知らぬ上級生と相部屋にされ、二段ベッドの上がパーソナルスペース。
プライバシーなんてあってないようなものだ。
夜10時には消灯となり朝は6時に音楽が爆音で流れ、掃除。
寮の敷地はグルっと金網が張り巡らされ、夕方以降は自由に出入りすることが叶わなかった。
オレたちはそんな環境を精神病棟と皮肉った。
唯一のメリットは、毎日が修学旅行みたいだったことだ。
夜な夜な金網を超えて、隣のスーパーに買い出しに出たり、こっそり女子寮棟に忍び込んだり、(しかし寮監の目が厳しく、5回に3回は見つかってシバかれる。ちなみに月に2回ほど代理で当直する寮監、通称ニセ寮監のときは成功率がぐんと上がる)むかつく先輩の写ルンですの残数を全て自分のケツのドアップで撮りきるヤツがいたり、入浴中に浴槽の栓を抜いて興味本位でチンコをつっこんでちぎれそうになってたヤツもいた。
台風の日に庭にでて傘をさしてジャンプすると少し飛ぶことができて、そんな些細ことで馬鹿みたいにはしゃいだり、夏の熱帯夜には布団を持ち出して、庭で寝たこともあった。
ここに書けるほんの一部をあげるとこんな感じだ。
大なり小なり体制のなかに入れられると眩く反発するのが若者だ。
つまりは毎日が全力で少年だった。
そんな健康優良不良少年たちの一番の苦痛が朝の掃除。
時間きっちりに、脳を直に刺しにくるスピッツメドレーと寮監のアナウンス。
「うるせー!!」早朝に響く怒号。
シカトきめて寝ていると寮監にたたき起こされる。
このままじゃスピッツに脅迫文を送りつけるというお門違いの報復にでてしまいそう…寮監に朝のBGMを変えるよう交渉してくれと同郷の友人に頼んだ。お前は音楽通だから選曲はまかせるからと持ち上げて。
翌朝。そんなことも忘れて、白目をむいて死んでいると、6時。
爆音のGREEN DAY。
あまりにビックリして一瞬心臓が破裂した。
透明感の代表みたいな草野マサムネの歌声だって鬱陶しいのに、がなるパンクロック。
何も知らない皆は驚きと不快感マックスでキレている。
いつもに増して殺伐とした朝だった。
次の日。
さも当たり前に、ロビンソンはチェリーを頬張りながら空を飛んでいた。
アオハルな思い出だ。
スピッツ - ロビンソン
Green Day - Basket Case
shinsuke
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