食欲。三大欲求の一つである。
生きていくための切実な糧。
日々の営みへのささやかなご褒美。
極彩色に彩られた至高の一皿。
まさに十人十色のシチュエーションがあるだろう食べるという行為。
どうせなら『美味しい』が良い。
近年『美味しい』は星の数で数値化されて、統計の力学のなかにある。
それに異議を唱えるかのような、グルメドラマが深夜に乱立したり・・・とにかく三大欲求は伊達ではない。
先日。朝から頭も体もフルスロットルで、口にするのは僅かばかりの水分とフリスク、夕方までノンストップで働いた帰り道。
スッカラカンでハンドルをにぎっていると弁当屋の看板をみつけ、吸いこまれる様に、立ち寄って「特から揚げ弁当ご飯大盛り」を頼んだ。
整理券を握りしめ待つ店内には揚げ物の匂いがたちこめる。
待ち時間と受け取った弁当の温度から察するに、出来立てホヤホヤ。足早に車に戻り、外灯の差し込む駐車場で、焦ってひっくり返さないように、最後の自制心をもってしてスタンバイ。いざ。
そこから、ものの5分。
最後の一口で我にかえり、唐揚げと白米のアンサンブルに息もそぞろだったことに気づき、慌てて水で流し込む。
涙目で思うのは、これに勝る『美味しい』はそうそうない。ということ。
まったくハングリーである。
shinsuke