アリとキリギリスという寓話がある。 将来への備えを怠り放蕩に生きると後々痛い目をみる。そんな人生訓をわかりやすく描いた話だ。
絵本を読み聞かせてもらった時分、幼いながらに、働き者のアリは立派で、キリギリスは惨めであると思った。
40目前の今思うのは、アリはもちろん立派だが、キリギリスだってそんなに惨めじゃなかったのでは。ということ。
キリギリスはやりたいことをやり通して餓死したのだ。芸術家である。 アリに助けを乞うシーンは確かに情けないのかもしれないが、キリギリスの奏でたバイオリンの音色に嘘はなくきっと美しかっただろう。
これは個人的な見解だが、登場するアリとキリギリスの2種。それぞれの種のなかに一定数変わり者がいたんじゃないかと思う。 例えば自分はキリギリスであると思い込んでいるアリや、その逆。
自分をアリと思い込んでいるキリギリス。アリ然としたアリと同じく、働き者であったはずで立派である。 では、自分をキリギリスだと思い込んでるアリはどうだろうか。 もしかすると一番惨めではなかろうか?
なのるなもない という名のラッパーが、≪現実逃避も逃げきれば勝ちさ≫とうたったが、キリギリス然としたアリは、その歩く速度で果たして逃げ切ることが出来るのだろうか?
shinsuke